辻󠄀井伸行 / ヴェルビエ音楽祭デビュー・リサイタル

辻󠄀井伸行 / ヴェルビエ音楽祭デビュー・リサイタル

完璧な技術と海のように深い情感を背景に持つ辻井伸行の芸術性は、彼の演奏の特長である人を引き付けるおおらかさ、自由な表現、そして誠実さとあいまって、リスナーの心にダイレクトに響く。視覚に障がいを持つこの日本人ピアニストが2025年に初出演したヴェルビエ音楽祭での演奏は、彼のピアニズムの驚くべき大胆さと親密さ、そして心の内を率直に打ち明けるかのような純然たる美しさを改めて印象付けるものとなった。 辻井が、ベートーヴェンの『ピアノ・ソナタ第14番 “月光”』の優美で叙情的な「Allegretto」の残り香を、後に続く爆発的なエネルギーに満ちた「Presto agitato」で消し去る様や、ショパンの「舟歌」が終盤に進んでいく中で、切ない夢想とでも言うべき趣から情熱的で説得力のある表現へと移行する様子に耳を傾けてほしい。 また、辻井の演奏の大胆さは刃の上で踊っている人のそれに匹敵するものだ。そして、ショパンの『ピアノ・ソナタ第3番』での勇ましい演奏や、リストの「ラ・カンパネラ」での驚くべき表現が示すように、彼の豊かな創造性と冒険心は、あらがえないほど圧倒的な生命力を楽曲に吹き込んでいる。 そして、最後のトラックには、ここでしか聴けない辻井伸行のコメントが収録されている。

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